「帳面消し」作業はダメよ!

(おもとの丘 奮闘記⑲)


ノートのことを帳面(ちょうめん)と呼ぶ人は、今はほとんどいないか、かなりのお年寄りではないかと思います。

しかし、「帳面消し」という言葉は今でも通用するのではないかと思います(?)ので、私は使っています。


   「帳面消し」とは、結果はどうなろうととにかくやった、終わらせた ということを意味します。

    ノートにやるべきことを書いて、終わったら線を引いて「○○作業終了!」と消すことから、こう

    いわれるのだと思います。

   

農場の作業では、ある時期にはいろんな作業が重なることがありますが、一つ一つの作業が雑になり、結果として作物の生育に何らプラスにならなかった というような場合に「帳面消し」作業と呼びます。これはいけません。



「おもとの丘」の業務心得   


 

(幼木のエカキムシ防除作業)


 幼木をすくすく成長させるため

 には、エカキムシ防除は欠かせ

 ません。


 丁寧に散布しています。




農場が発足した当時、スタッフはほとんど農業、果樹栽培の経験はありませんでした。そこで、業務を行う上の

「業務心得」(ぎょうむこころえ)を作成して、現場事務所の壁に貼っています。


 (業務心得)

    〇生き物を育てていることを自覚する。

    〇作業は、かぼす(ユズ)の生育に係る作業を優先する。

    〇作業は「丁寧」かつ「早く」を心がける。

    〇複数の業務は、優先順位を決め効率よく進める。

    〇・・・・


  この業務心得で一番大事なことは、当然ながら一番上にある「生き物を育てていることを自覚する」です。

  

  意外なことに、この当然なことが分かっていない人が時々おりまして、「もっとチャッチャッとできないん

  かい」とか、「機械でさっさっとやればよいのに」とか言われます。(ア~ア 溜息)

  

  「おもとの丘」は、機械化体系の大規模かぼす園を目指していますので、いずれ、植え付けて数年経ち、苗が順  

  調に成長したあかつきには、防除や施肥等の一般管理作業は機械化・省力化する予定ですが、苗が小さいうちは

  手がかかるのです。人間の赤ん坊と一緒です。



最悪の「帳面消し」作業

 我が農園の史上最悪の「帳面消し」作業は、一番最初の苗の植え付け作業でした。全面委託して、ある業者が植え

 たのですが、絶句するようなひどい植え方でした。まさにこれが「帳面消し作業」。

                            (詳細は、6月9日付け「一番最初に大変な失敗」)         




(ひどい植え方)


木の根や石があってもお構いなし

ただ寄せただけの植え方


この後、枯死寸前だったのを、植え

直し作業して何とか復活  






最初はうちも帳面消し

 うちの初期のスタッフは若くて元気バリバリで、建設系や工業系で行動力は素晴らしく「おりゃ~」「とりゃ~」

 とやるのですが、かぼす苗の摘芯などのちまちました作業はいささか苦手なようでした。


 しかし今では、こう切れば枝がこう伸びる、防除をこうすればエカキムシを防げる、肥料をこのくらい撒けば葉色

 が回復する等、生理的なこともわかるようになってきました。



作業の優先順位 

 かぼす(果樹全般)は永年性作物ですから、季節によりやるべき作業が決まっています。野菜や稲などの一年生

 作物は、種まきや定植時期をずらすことは可能ですが、かぼすは大きくは時期をずらせないので、作業が重なっ

 てしまうことがあります。 


 例えば、かぼすの苗の植え付け時期は3月がベストで、遅れるとその後の生育や樹冠拡大に影響が出ます。よっ

 て、3月は苗の植え付け作業を最優先にして、除草剤散布やかいよう病防除は前後にずらしたりします。


 6~7月も作業が重なる時期です。草は伸び放題、葉摘み・摘果を急がねば、結果樹のかいよう病防除、幼木の

 エカキムシ防除も定期的にやらねば 等々。



丁寧かつ早く



(植え付け作業)



1日の植え付け本数を競う

のではなく、丁寧にが前提

となる









(苗の芽かき、摘芯作業)




抜く枝、切る位置をよく考えて

切る

機械ではできません












(きれいなかぼす)






 消費者の皆さんに喜んでもらえるような、きれいなかぼすがたわわに実ることを夢見て、今日も丁寧な仕事を

 行なっています。帳面消し作業はダメよ~。



         

         (※)加工専用園について

             前回の余談の項に、リンゴの加工専用園の話を書きました。誤解を招く恐れがある

             ので、追加説明します。

             リンゴの加工専用園が成立する条件は、①地代がタダかごく安いこと、②生産者が

             プロで、通常のリンゴを栽培できること。です。

             全くの初心者が、管理が楽だろうと地代の高い園地に苗を植えて手抜き管理すると、

             苗が育たずモノにはなりません。

             また、かぼすの加工専用園は、加工原料単価がリンゴよりかなり安くなるので、ま

             すます成立しなくなります。安易に取り組まないようにしてください。 




 「おもとの丘」の業務心得の下の方に、〇コスト意識を持つ・無料の資材(竹、木材、石)を利用する と

  いう項目もあります。何せまだ発展途上なのです。売り上げが少なくて経営が苦しいのです。

 

  竹や石ならなんぼでもありますが、

  どこか、格安の肥料、農薬はないもんですかなあ。



                                    ( おもとの丘の長老 ) 








 

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