(おもとの丘奮闘記 ㉚)
かぼすの緑色がだんだん薄くなってきました
季節は移り10月に入って、みずみずしい緑だったかぼすの皮の色が、ポワ~ンと薄くなってきました。今は色変
わりの過渡期で薄緑色ですが、10月下旬~11月になると黄色になります。
「おもとの丘」では、緑かぼすの出荷は一応区切りをつけて終了し、11月からは「黄かぼす」の出荷を開始しま
す。
(着色始めのかぼす)
日当たりの良い果実の方が
早く着色する
時期になれば鮮やかな黄色
になります
意外と知られていない黄色のかぼす
大分県内でもかぼすの樹が身近にある地域の人は、かぼすが黄色くなることを当然知っていますが、都市部で農業
と関係ない人に「えっ、黄色のかぼすがあるの?」と言われ、こちらも「・・・」となってしまったことがありま
す。
かぼすも熟れたら黄色くなるのです。
黄色かぼすがあまり世に知られなかったのは、一つはかぼす流通上の戦略があったからです。「グリーンかぼすの
周年出荷戦略」というのがありました。(現在もあります)
かぼすの旬(露地の緑色のかぼすの出荷時期)は8月上旬~10月上旬の2か月間だけ。では、それ以外の時期は
どうするのかと言うと、3月~7月をハウス栽培(超早期加温栽培、加温栽培、無加温栽培)、10月~2月を貯
蔵(短期、中期、長期貯蔵)と、作型を組み合わせて一年中緑色のかぼすをリレー出荷しようという戦略です。
この戦略はある意味素晴らしいと思います。しかし、ハウス栽培にしろ貯蔵にしろコストがかかりますから、販売
単価が高くないと農家の経営としては合いません。すると、需要者(購買者)はおのずと高級な業務筋(料亭等)
に限られ、一般庶民には手が届かないのです。
また、完全に熟れた黄かぼすやその途中の黄緑かぼすもそれぞれに風味が異なり、その時期時期や使う料理ですば
らしい働きをします。決して取り残りのカスではないのです。
おもとの丘では、ハウス栽培も貯蔵も現在はやっていません。露地の緑かぼすと樹で熟した黄かぼすの組み合わせ
で販売していきます。
今から気温が下がってくると、鍋料理が恋しくなってきます。黄かぼすの出番です。
鍋の時期に手ごろな値段でかぼすを食べてもらいたい。
着色のメカニズム
かぼすの果皮の黄化は、他の柑橘類と同様で下記のようなメカニズムで起こります。
果皮の緑色・・・・・・葉緑素(クロロフィル)
〃 黄色、橙色・・・カロチノイド系色素
・果実の成熟に伴って、カロチノイド系色素が集積してくる。表面の葉緑素は、気温の低下により消失する。
・日当たりの良い果実の方が着色がスムーズに進み、また、チッソ肥料の少ない樹や果実の方が早く着色する。
(日当たりが良く、着果量の多い樹)→着色早い (やや日陰で着果量の少ない樹)→着色遅い
黄かぼすの特徴は?
黄色のかぼすは、以前は、緑の時に取り残して樹に残っている余りものとして二束三文で売られていましたが、非
常にもったいないことをしたものです。黄かぼすにはとても素晴らしい特徴があります。
酸味がさらにまろやか
かぼすは香酸柑橘ですから酸が多く、緑色の時期には6~6.5%の有機酸を含み、そのうち80%以上が
クエン酸とされています。しかし、糖分もかなり含んでいるため、すだちなどの他の香酸柑橘と比べても
味が「まろやか」と評されています。黄かぼすになると、この酸味がやや下がり糖分も上がるので、さら
にまろやかになります。
果汁がたっぷり出ます
熟度が進むと果汁の比率が高まります。緑かぼすの出荷始め頃(8月上旬)では、重量比で20%程度で
あった果汁歩合(100gの果実で果汁20g程度)が、黄かぼすでは50~60%程度まで増えます。
おすすめは「鍋」用のポン酢
黄かぼすに合う利用法は、何と言ってもポン酢ですね。生しぼりのかぼす果汁と醤油、だしをブレンドし
て自家製ポン酢を作りましょう。これを一度味わうと、市販の瓶詰めのポン酢なんか食べられません。
緑 → 黄緑 → 黄色へ
(緑かぼす)
8~9月
香り鮮烈
酸味やや高
(黄緑かぼす)
過渡期
10月
おもとの丘では、この過渡期の黄緑かぼすは
販売していませんが、来年は商品化しようと
考えています。
(黄かぼす)
11月~
果汁たっぷり
酸味まろやか
(昨年の写真)
かぼすも時期によって風味が変わります。
「みんな違って みんないい」誰かの詩のとおりです.
人も同じ。若い者には若い者の良さがありますが、
人生経験を積んだ大人には、若い者にはない魅力が
あるのだよ。
( おもとの丘の長老 )
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