〔 おもとの丘奮闘記 2024-③ 〕
かぼすの出荷最盛期です
前回の奮闘記でも書きましたが、今年は気象的には厳しく、少雨乾燥でかつ異常高温が続いています。9月の中旬にもなるのに、相変わらず酷暑の毎日です。
露地(ハウス栽培や貯蔵ではない)のかぼすの出荷は、緑果(グリーンかぼす)では、8月上旬~10月上旬の約2か月間で、10月中旬以降は徐々に緑色が薄くなり、11月には黄色(完熟)かぼすになります。
現在はグリーンかぼすの出荷最盛期で、緑のピチピチのかぼすを全国のお客様に発送し、ご好評をいただいています。
一部で「日焼け果」が出ています
〔 日焼け果 〕 青果では販売できません、程度の軽いものは原料で出荷。
一部の園地、一部の樹で日焼けしている果実が見られます。この原因は今年の天候に原因があります。
土壌乾燥と異常高温 が原因です
人の日焼けは「黒」、かぼすの日焼けは「黄」
人が日焼けすると、皮膚にメラニン色素が増えて沈着し黒くなります。一方かぼすは、表皮の細胞がダメージを受
けて葉緑素が消失し、黄色になります。
他の柑橘、例えば温州みかんの日焼けでは、ダメージを受けた表皮に「たんそ病菌」が繁殖して腐敗してしまいま
すが、かぼすの場合腐敗はまれで、日焼けした部分が固くなり、青果としての商品価値はなくなります。
〔 日焼け果になるメカニズム 〕
専門書によると、日焼け果になる仕組みは次のようです。
・果実の表面温度は、果頂部(日射を直角で受ける面)で、気温より13~14℃も高くなる。
・果実温度が40度以上になると起こりやすくなり、40~45度が3時間以上続くと発生する。
・果実温度が高くなると、果皮表面からの蒸散が激しくなり、土壌の乾燥や生育ステージにより
地下部からの水分補給ができず、異常乾燥状態になり油胞(果皮表面の組織)が破壊される。
・太陽光の内、紫外線よりも赤外線や可視光による温度上昇が主な原因。
今年の気温は35~37度ととんでもない気温でしたので、果実表面温度は50度近くになっていた可能性も
あります。これでは日焼けするのも無理はないか。
( 日焼け果 )
太陽光が直角に当たる部分が、日焼けする。
( 微妙な日焼け )
かぼすに葉がかぶさると緑色がまだらになる
(色ムラ果)ため、葉摘みをして日が当たり
すぎた。
微妙に緑色が抜けかけている。
防止法はないのか
日焼けは、かぼすだけではなく他の柑橘類でも発生します。温州みかんでは特に「早生みかん」が被害が大きいと
言われておりますし、中晩柑類でも発生します。また、その年の気象条件にも大きく左右されます。
日焼けの防止法(対処法)については、各種提案されています。袋をかける、果頂部にテープを張る等ですが、
果実1個当たりの単価が高いものは労力的にも経費的にも可能ですが、かぼすではそこまでできません。一定割
合のロスはやむを得ないと考えています。
かぼすのジレンマ
かぼすは基本的に緑色のイメージです。(おもとの丘では、完熟の黄かぼすも販売していますが)この緑のかぼす
の品質の評価は、果実全体がまんべんなく緑で傷や病気の付いてないものが上位になります。
春先に葉が出て花が咲いたかぼすの樹をそのままにしておくと、果実に葉がかぶさってしまったり、果実同士がく
っついてしまって、緑色がまだらになってしまいます。(色ムラ果)
そこで、枝や葉を適度に抜いたり果実がくっつかないよう摘果しますが、今年のような気象の年はそれが裏目に出
ました。
きれいなかぼすを作りたい、日焼け果は出したくない・・・ジレンマ
立派なかぼすもたくさんあります
( 完璧なかぼす )
色ムラなし、傷なし
特選かぼす
( 房成りのかぼす )
適度に葉摘みを行なっていますが、
日焼けは出ていない。
前回も乾燥の害を書きまして、今回は「日焼け果」の問題です。こうやって見ると、このブログ
は悪いことばかり書いているので、「おもとの丘」は大丈夫か?と思われるかもしれません。
大丈夫です
「奮闘記」ですから、失敗やいろいろな課題をネタに書いております。まっ、農場自体も発展途上
中でありますし、スタッフも若くて経験が足りない部分もありますが、日々精進しております。
12月の黄かぼす(完熟)出荷終了まで頑張ります。
( おもとの丘の長老 )
Comments