(おもとの丘奮闘記⑥)
昨年植えた4番圃場の苗が、不幸なことが重なり生育が不調です。
我が農場では、植えた年の古い順にⅠ期~Ⅳ期とし、また、圃場には番号がついています。
問題となっているのは、Ⅲ期の4番圃場です。
枝の伸びもいまいち
冬~春先に落葉が多く
みすぼらしい
不幸なこと その①
〔植える時期が大幅に遅れた。〕
通常果樹を植える場合、3月が適期と言われています。寒さが過ぎ去り、かつ、
芽がまだ動いていない時期が良いのです。
ところが4番圃場の場合、造成工事が遅れ、実際に植えたのは5月中~下旬に
なってしまいました。
(苗圃の苗)
苗圃で2か月も待たされて
しまいました。
苗は3月上旬には苗木商から取り寄せて、苗圃に仮植えしていました。
気温の上昇とともに、芽が出て、花も咲いているのも見られました。
不幸なこと その②
〔苗があまり良くなかった〕
苗圃に仮植作業中
の苗
葉色も薄く、枝伸び
も悪い
カボス苗は、福岡県の田主丸町のある苗木商さんにお願いしています。
信頼のおける苗木商さんで、例年立派な苗を送ってくれるのですが、
この年は、田主丸町一帯で雨が続き、苗畑(水田)が水に漬かったり
「かいよう病」が多発したとのこと。残念。
農業では、作物により若干苗の重要性は変わりますが、「苗半作」とか
「7~8割は苗で決まる」とか言われています。
苗は非常に重要なのです。
(植え付け直後)
5月中旬
一見すると立派に植わったように見えますが、新芽(春芽)がたくさん出て、葉から
の水分の蒸散は盛んなのに対し、根は移植の影響で一時的に水分などの吸い上げが抑
制されます。
非常に不安定な、危うい状態なのです。
不幸なこと その③
〔天候にムラがあった〕
(植付直後の乾燥)
新芽が多く、乾燥には弱い
乾燥して葉が黄化、新芽は
萎れている。
ひどいものには潅水した.。
植え付け直後や夏季に晴天が続くことが多く、幼木の生育には好ましくない天候でした。
幼木は根がまだ十分に張っておらず、吸水力、吸肥力は弱い。
強い芽(夏芽)が出る時期に定期的に雨が降ると、幼木は一気に大きくなるのだがなあ。
不幸なこと その④
〔造成上の不具合があった〕
作業道の土砂が、畝の上
に流れ込んでしまった。
圃場の形状については、設計者、施工者、受益者(おもとの丘農園)の三者で何度も話し
合い、栽培上の利便性や造成工事上の簡便化等を考慮し、作ってもらっています。
梅雨の雨で、作業道の土砂がカボスが植わっている畝(うね)の上に流れ込んでしまいま
した。
作業道の土砂は、石や岩砕や砂などで、草も生えないような劣悪なものです。一方、畝の
土は、表土や堆肥、腐熟したチップなどを混ぜた優れた土で、別の場所で調整し溝を掘っ
たところに客土(きゃくど:他から良い土を持ってくること)したものです。混ざっては
いけません。
これは、作業道と畝がすりついていた(同じ高さ)ことが原因です。
これについては、ユンボで作業道と畝の間に溝を掘り改善しました。
また、この反省を踏まえ、次年度(今春)の設計では畝と作業道に
段差をつけ、問題は解決できました。
不幸なこと その⑤
〔冬の寒風が強かった〕
昨年の秋ぐらいまでは、この4番圃場はまだ見れてました。(そんなにひどくは見えなかった)
ところが、冬を越し3月になったころハラハラと葉が落ち、遠くから見ると枝だけなので苗が
見えなくなりました。
これは寒風の影響でした。
今年の1~2月は非常に寒い日が続き、また、我が農園の防風対策も不十分でしたので
海側から吹き上げる北風は、容赦なく苗たちに襲いかかったものと思われます。
現在、防風ネットの整備のために、補助事業の申請準備を進めています。
でも、苗は頑張っている
春芽がたくさん
出ています
現在の4番圃場の苗からは、新芽(春芽)がたくさん発生しています。
カボスの苗にとって、今の時点で一番大事なことは、葉を確保すること。
葉は、光合成によってデンプンを合成し、体を作り、成長させるのです。
今出ている芽が展葉(葉が開いて大きくなること)すると、5月には多
くの葉に覆われ、元気になっていることと思います。
「不幸なことばかりを並べて、全て人のせいや天候のせいにしてないかい?
栽培者の責任はないの?」 とツッコミを入れられそう。
確かに、手が足りないことを理由に、十分なフォローができていなかったのは事実。
今年は特に意識をして、4番圃場の劇的な復活を目指したい。
それまでの間、4番圃場の視察はお断り。
秋には、胸を張ってお見せできる立派な圃場になっていると思います。
こんなことを書いてしまってよかったか、ちょっと不安。
「背水の陣」じゃな。
( 「おもとの丘」の長老 )
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