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さあ始動 目指せ倍増!

更新日:5月28日


〔 おもとの丘奮闘記2023-④ 〕



かぼすの樹が目覚めました                      (かぼすの新芽)

 


3月下旬から気温が上昇し、すっかり春になりました。野山の草花は活動を開始しかぼすの樹も目を覚まして,

いよいよかぼす農園の今シーズンがスタートしました。




 (野の草花)


 ただ、かぼすの樹が眠っている晩秋から冬の間農場がヒマだったのかというと、とんでもありません。やるべきこ

 とがた~くさんあって、皆でしゃかりきになって作業をしていました。作業の密度に濃淡はあるものの、果樹園で

 は一年中仕事はあるのです。 



去年の反省、今年の改善

 昨年の栽培上の失敗やトラブルは、このブログでもたびたび書いてきましたが、同じ失敗を2回3回繰り返すのは

 許されません。今年は先手先手で準備し、何とか満足できる結果を得たいと考えています。



(樹勢コントロールで安定着花)

  かぼすは苗を植えてから3年間育成(実を成らせず樹を大きくする)し、4年目に初めて果実を成らせます。一

  年生作物の野菜や花を栽培している農家からは、「なんと気の長い」と思われるかもしれませんが、一旦植える

  と30~40年間果実を成らせてくれるので、十二分にメリットはあります。


  この育成期間3年間は、花を着けず樹が大きくなれば良いので植物生理学では「栄養成長期」と呼びます。4年

  目以降の花を着けてもらいたい時期を「生殖成長期」と言い、3年目から4年目に移る時にスムーズに栄養生長

  から生殖成長に移行することが理想です。


  ところが、いよいよ初結果(初めて果実を成らせる)という4年目に、樹の勢いが強すぎて花が着かないという

  ことがあるのです。うちの農場でもこういう樹、エリアがありました。かぼすは一般的な柑橘類と比べて、着花

  が不安定な面があり、出荷計画に影響が出ます。(2022.5.11「かぼすの花は気まぐれ」参照)


〇軽い剪定とりん酸補給

    剪定を軽くしました。樹の枝を切ることを剪定(せんてい)と言いますが、強く切ると反発して樹が栄養生

    長状態になって花が着きにくくなります。軽~く切って刺激を与えないようにしました。


    肥料でチッソが効きすぎると、栄養生長が盛んになりなかなか花を漬けてくれません。樹個々の状態を見な

    がら、勢いの強すぎる樹に「過燐酸石灰」というりん酸肥料を施用しました。りん酸はチッソの効きをやや

    抑え、また、花の着きを促進する働きがあります。効果を注視したいと思います。



(「かいよう病」撲滅作戦)

  昨年、「かいよう病」が部分的に大発生してずいぶん廃棄しました。



このかいよう病は、かぼすにとっては極悪非道な

「最凶病害」です。


かぼすの一般的な病気は糸状菌(カビ)が原因ですが、「かいよう病」は細菌(バクテリア)によって

発症します。


果実のみならず葉や枝にも発生し、越年してなかなか

根絶が難しい病気です。



(2022.9.16かぼすの最凶病害「かいよう病」参照)




 

越冬病菌を叩け

  去年の反省を踏まえ、芽の出る前の3月から防除を開始しています。何とか今年は「かいよう病」の発生を最低

  限に抑えたいと思っています。



(ボルドー液散布:製剤名ICボルドー)


かいよう病の防除は、基本的にボルドー液系の薬剤で予防的防除が主体となります。


※ボルドー液

  硫酸銅と石灰を混ぜたもの。以前は農家段階で自 

  作していたが、最近は製剤が市販されている。

  有機栽培でも使用が認められている安全性の高い

  薬剤である。

白く見えるのはほとんど石灰(カルシウム)なので、

ご心配なく。




(獣害を防ぐ)

   昨年の9月に台風で防獣柵が倒され、一部の圃場でシカや野ウサギの食害、イノシシの圃場荒らしが見られま

   した。これらの獣害は、樹の生育や生産量に影響します。困ったものです。


 

(シカの食害)


 シカが食べた跡はすぐにわかります。葉をくわえて

 引きちぎります。


 葉に蓄積されていた光合成による同化養分がなくな

 り、食べられた枝では花が着かなくなります。  


 ひどい園地では、かぼすの樹の下半身がすっぽんぽ

 んにされたところもあります。





     (シ カ)・・・葉のみを食べます。高いところはのしかかって枝を折ることもあります。

     (野ウサギ)・・下の方の枝を鋭い歯でかみ切り葉のみを食べます。時には幹もかじります。

           ※シカも野ウサギも柑橘類の葉が大好物。

     (イノシシ)・・園内に侵入していたるところを掘り起こします。掘らずにはおられない困

             った性格です。


  防獣柵の修復をこまめに行う 

  農場の初期のころは、柵の資材も簡易なもので自社で施工しました。台風が来ては倒れ、地際部(地面との境

  部分)は穴を掘って突破されたり(イノシシ、野ウサギ)さんざんやられました。逐次見回りをして整備、修復

  するしかありません。



(人員の補強)

  毎年新たに苗を植栽して面積は増えているのに、人員の増員が追い付いていませんでした。これをきちんとやれ

  ばもっと出荷量は増えていたのにとか、これをしてなかったので苗の成長が遅れたということがありました。


 大型新人の採用          



 

今年の4月1日からA君が仲間に入りました。


1年前、県立農大の学生であったときにうちの農場にインターン研修に来て、それが縁で社員として採用しました。


何が大型かと言うと、体がデカい。

「体重は?」と聞くと、小さい声で「100キロはないです」と言います。

気は優しくて力持ち。今後の頑張りに期待したい。



他に50歳代のS氏にも来てもらい、ずいぶんスタッフは補強されました。









樹の成長に伴い、生産量や出荷量は増加

 かぼすの樹は、4年目に初結果させてから年ごとに収穫量が増えていき、8年目にはほぼピークに達します。うち

 の農場の場合は計画的密植栽培で、標準より苗の本数を多く植えていますので8年で成園(せいえん:大人の園)

 になりますが、一般的な園では成園になるのに10年以上かかります。


 昨年は初期の頃に植えたⅠ期、Ⅱ期でかなり生産量、出荷量はあったのですが、取りこぼしもかなりありました。

 果実の成るべき樹が成らなかったり、かいよう病にやられたり等々。ネット通販や郵便局のふるさと小包での注文

 はまだまだあったのですが、涙を呑んでお断りせざるを得ないことになりました。非常に残念です。


    今年は去年の反省を踏まえて周到に管理し、生産量、出荷量、販売額の倍増を目指します。



          3月からこのブログを再開し、毎週アップしようと思っていたのですが、先週1回飛ばし

          てしまいました。失礼しました。

          私はまだおジイさんではなくおじさんだと思っていますが、若い社員と同じ作業をするの

          はいささかきつくなってきました。新しいスタッフも増えたことだし、ここいらで、

          「口だけおじさん」になろうかと思っています。

                 「あ~だ、こ~だ、ぶつぶつ・・・」  

                 「今年は倍増じゃ、野郎どもぬかるんじゃねえぞ!」


                                       ( おもとの丘の長老 )

            

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