(おもとの丘奮闘記⑦)
かわいそうな4番圃場の苗の話は前回お知らせしましたが、現在、新芽が盛んに発生しています。
植物にとって、何はなくとも「葉」が大事なのです。
ただ、出てきた新芽を全部そのままにしておくと、枝が混みすぎたり先端が伸びなかったりと
問題も発生しますので、栽培という観点から「芽かき」作業を行ない多少淘汰します。
寒波で古い葉がほぼ全部落ちた苗
新芽が盛んに発生している
葉は光合成で自分の体や果実を太らせる
今さら言うまでもありませんが、植物は光合成(こうごうせい)をしています。
6CO2 + 12H2O = C6H12O6 + 6O2 + 6H2O
(二酸化炭素) (水) (ブドウ糖) (酸素) (水)
太陽エネルギーを使い、二酸化炭素と水からブドウ糖と酸素を合成しています。
ブドウ等は枝や根、果実に送られ、でんぷんの形で貯蔵されます。
植物のこの働きは動物にとってもとてもありがたく、食料と酸素を供給してくれ
ています。
意外と短い葉の寿命
葉は新芽で発生してから1年半くらいは活発に働くが、その後は機能が衰えて
自然と落葉します。
つまり、葉の寿命は1年半~2年程度と言われています。意外と短いものです。
寿命が来た
旧葉
黄色くなり
自然に落ち
る
柑橘類の葉は、年3回発生する
かぼすやゆず、みかんなどの柑橘類は、大きく分けて年3回芽(葉)が発生し、
それぞれに名前がついています。
春芽・・・4~5月に発生し、来年の結果母枝(実のなる枝)となることが
多い。樹の勢いが安定した大人の樹は、この春芽が主体で、夏芽、
秋芽はほとんど出ない
夏芽・・・6下~9月頃 (時期の基準は正確ではない)
まだ実を成らせていない幼木や果実があまり成らなかった
大人の樹で発生する。幼木にとっては、一気に樹を大きく
するチャンス。防除を徹底してエカキムシにやられないよ
うにする。
秋芽・・・10月以降に発生。気温が下がってくるので充実せず黄色
いままである。役に立たないので、剪定で落とす。
秋芽
役に立たない
ので切る
寿命前に落ちる原因
葉をたくさんつけて健全に光合成を行なっていれば、樹の太りがよく、
果実もたくさんならせることができます。
ところが、葉の寿命前に落としてしまういろいろな原因があります。
①エカキムシ、かいよう病による被害
②台風による傷や冬の寒風害による落葉
③鹿や野ウサギによる食害
④その他
このような原因を排除し、樹を健全に保つことが栽培者の務めです。
日々、悪戦苦闘しています。
エカキムシ(ミカンハモグリガ)
の被害を受けた個所から
かいよう病に羅病
いずれ落葉する
鹿の集団に食べられ、
葉が全くなくなった
かぼす
これを発見した時
は、愕然とし、天
を仰いだ
かぼす、ゆずの葉は、鹿好みのフレーバー
柑橘類全般に言えることですが、特にかぼすやゆずの葉は、手でもんで嗅ぐと
とても良い香りがします。香酸柑橘(こうさんかんきつ)と呼ばれ、果実はも
ちろんさわやかな香りがするのですが、葉も香るのです。
鹿たちはきっとルンルンして食べたことでしょう。野ウサギも狙ってきます。
防獣柵はきちんと整備せんといけませんなあ。
悪戦苦闘しながら艱難辛苦(かんなんしんく)を乗り越えて、まだまだ
頑張ります。
( 「おもとの丘」の長老 )
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