(おもとの丘奮闘記 ㉛)
おもとの丘にはゆずもあります
「おもとの丘はかぼす農園なのに、ゆずもあるの?」と言われそうですが、実はゆずもあります。
うちの一番最初に苗を植えたⅠ期圃場(平成30年3月植栽)2.5ヘクタールのうち、約半分にゆずを植え
ました。これは、かぼすの苗が本数が足りなかったという理由と、風が強い圃場なのでかいよう病に抵抗性の
あるユズをという理由からです。
しかしその後の植え付けでは、かぼすのみ植えてユズは植えていませんので、農園全体から見るとゆずは小面
積です。
(今年産のゆず 着色が始まっている)
ゆずが激しい隔年結果をしています
そのゆずが、隔年結果(かくねんけっか:果実がたくさん成る年と少ない年を交互に繰り返す)しています。
(全く成っていない列)
この列10数本全くゆずが成っていない
(1個も成っていない樹)
ところどころは成っている
(まあまあ成っている樹)
全部の樹が収穫皆無ではなく、ところどころには
ちゃんと実がついている樹もあります。
隔年結果はなぜ起こる?
そもそも柑橘類では、品種により程度の差はありますが隔年結果をします。一方、梨やブドウ等の落葉果樹類はよ
ほどのことがない限り隔年結果はしません。
これは、①落葉果樹類の花芽分化時期が7~8月で、柑橘類は1~2月であること ②着果量の調節をきちんとや
るかどうか(落葉果樹栽培では摘果、摘房などの作業は必須、柑橘類はきちんとやられていない例が多い)であろ
うと思われます。
柑橘類では、来年花や実を着ける枝を結果母枝(けっかぼし)と呼び、主に春に出た芽(春芽)が結果母枝になり
ます。この春芽が、その後夏や秋に芽が出ずにじっと光合成によるデンプンを貯めていくと、1~2月の花芽分化
時期に花の元ができます。なお、花芽ができたかどうかは外観からはわかりません。
また1本の樹で見ても、たくさん果実が成った年には光合成デンプンは果実に使われて、結果母枝に蓄積できずに
花芽ができにくくなるのです。
柑橘類でも花がたくさん着いた年には、「摘果」による着果量の調節や来年用の結果母枝を発生させるために「予
備枝剪定」をきちんと行えば、隔年結果はかなり軽減できます。
原因に思い当たることがあります
今年の5月、ゆずの花を見て回って「あちゃ~、やっぱり」とスタッフ一同思いました。思い当たることがあった
のです。
去年しこたま成らせた
ゆずもかぼすも去年から成らせ始めたのですが、うちの農場はかぼすが主体ですから、ゆずがかなり成ってい
るのを知りながら、かぼすの作業に追われてゆずはそのまま放置していました。
(昨年の結果状況)
かなりのゆずが成っている
遅くまで成らせてしまった
おまけに収穫が遅れてしまいました。通常ゆずは若干緑色が残っている時期に収穫し、低温貯蔵庫に入れてお
くときれいな黄色になって商品価値も上がり、樹の負担も少なくなるのですが、11月末まで成らせてしまい
ました。その結果、果実は赤みがかってしまい、また、樹の負担も大きくなってしまいました。
強い剪定をしました
ゆずの樹の姿は直立性で、上に上に伸びます。植えてから数年間きちんと剪定をしていなかったので、樹のふ
ところ(中心部)に直立枝が林立し、作業の手が入れられないような状態でした。去年の収穫後に中心部の直
立枝を抜いていきました。結果母枝となる小枝(春芽)は極力残しましたが、これが樹を刺激して※栄養生長
(えいようせいちょう)に傾いたのではないかと推測されます。しかし、いつかはこの剪定をやらなくてはな
らなかったので、やむを得ないと考えています。
※樹が伸びる成長。一方、花を着けるのは生殖成長という。
全国的にも少ない?
うちの失敗談ばかり書いてきましたが、今年のゆずはどうも全国的に少ないようなのです。うちと取引のある果汁
業者さんの話によると、今年のゆずは少なくて、去年の4割程度しか見込めないとのこと。
柑橘類ではよくある話で、気象的な要因で全国的に裏年(少ない年)と表年(多い年)が揃ってしまうのです。
ゆずの販売
おもとの丘はネットでの販売を主体に行なっていますが、今年のゆずはバンバン売るほどの量はありません。各サ
イトへ「数量限定○○箱」とアップします。11月上旬販売開始。昨年ご注文いただいたリピーターのお客様の分
は確保しておきたいと思っています。
このブログは「おもとの丘奮闘記」ですからいろいろな失敗談を書いております。
2回も3回も同じ失敗をするのはアホですが、1回の失敗は若いスタッフの血とな
り肉となって、果樹栽培技術者として年々グレードアップしております。
早く一人前になっておくれ。いささか疲れてきたぞ。
( おもとの丘の長老 )
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