(おもとの丘奮闘記⑨)
かぼすの花が咲きました。
我が農園のかぼすに花が咲きました。
おもとの丘は大分県の北部に位置しますので、柑橘類の花が咲く時期は県南と比べてやや遅く、
温州みかん(普通のみかん)で5月中旬(10~15日頃)、かぼすで下旬(20~25日頃)とされて
きました。
例年と比べて10日以上早いのではないかと思われます。(4月の気温が高かったからか)
かぼす園に入ると、とても良い香りがします。いわゆる柑橘系の香りで、さわやかさの中に甘さもあり、
幸せな気分になります。
あれ~ 意外と少ない
かぼすの苗を植えて3年間は樹を大きくすることに専念し、4年目に初結果(実を成らせる)させること
を基本としていますが、満を持して、さあ今年から成らせるぞと思っていた4年目の園地で、花が意外に
少ないようなのです。
かぼすは「遅れ花(おくればな)」と言って、この後もパラパラと花が着くことがありますのでまだ確定
的ではありませんが、予想外でした。
さらに、一番最初に植えた今年5年目の園で、昨年の初結果であまり成っていなかった列のかぼすもあま
り花が着いていません。
栄養生長から生殖成長へ
植物は最初の頃はひたすら体を大きくする栄養生長(えいようせいちょう)をし、一定の大きさになると
花を着ける生殖成長(せいしょくせいちょう)に移行します。
果樹のような永年性木本類は、上に伸びて樹を大きくするため幹は栄養成長を続けながら、その先端の枝
は生殖成長するという、両者が共存をしています。
小さくて花が咲くのは失敗
苗に着いた花(蕾)
苗を植えて、ほとんど樹が大きくならずに花を着けることがあります。
これは、栄養成長をあきらめ生殖成長に移行してしまった例です。
果樹栽培としては失敗です。蕾を摘み取り、剪定をし直したり、肥料を多めにやる
などの管理をして、仕切り直しをします。
果樹の種類によって花の着き方は違う
果樹にもいろいろ種類がありますが、それぞれで花の着き方が違います。
・落葉果樹(ブドウ、ナシ等)は前年の夏(7~8月)に花芽分化が終了するので、冬の剪定の時期には
外観的にも花芽が確認でき、また、花が少なすぎることもまずありません。
・柑橘類は花芽分化が冬(1~2月)で、また、外観からは花が着くのか着かないのかは判断できません。
柑橘類の中でも、温州みかんは比較的容易に花が着きますし、デコポンなどの中晩柑類は逆に花が着
きすぎて困ることがあります。
かぼすの花の着き方
内側にたくさん
着いた花
これは多すぎ
かぼすは他の柑橘類に比べて着花生理がデリケートで、いろいろな要因が影響しています。
去年はたくさん実がついたが今年はさっぱり少ない、というような隔年結果(かくねんけっか)を起
こしやすく、毎年安定して収穫するのは難しいものがあります。
(かぼすの花が着く条件)
・結果母枝(けっかぼし:花が着く元の枝)は、短い春芽が良い。
・樹勢は強すぎず かつ 弱すぎないこと。
・冬の寒風で葉が落ちないこと。
花の少ない樹の原因は?
ほとんど花の
ない樹
花の少ない原因を、若手スタッフとともにいろいろと反省してみました。
・剪定が強すぎたのか。
(太い枝が混んでいたので、芯を抜いて高さも切り下げた)
・肥料が効きすぎたか。
(化学肥料は葉色により加減したが、堆肥が効いていたのではないか)
・冬が寒すぎたのではないか。
(寒風で落葉すると、花になる予定の芽が葉になってしまう)
今後の対処法
花が少ないとはいえ、注文に応じられないとかいうレベルではありません。また、今年から
出荷を開始するⅡ期(にき)圃場の増加分もあります。
来年の花を確実に咲かせるためにどうするかが問題になります。
・出荷までの肥料は基本的に控えて、春芽が固まった後、夏芽が出ないようにしよう。
・夏剪定は、果実にかぶさった最低限の葉を除く程度、冬剪定はやらず、来年の花が終わ
ったら切る。
・全体的に過激な管理はしない。じっと様子を見守る。
かぼすの花は気まぐれ、まるで猫のよう。
呼んでも来んし、時々べたべたする。
しかし、そんなことは言っておられんな。
猫をうまく飼い馴らさんと。
( おもとの丘の長老 )
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