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一番最初に大変な失敗

更新日:2024年6月12日

( おもとの丘奮闘記 ⑬ )


 おもとの丘奮闘記と銘打って書いてきて13回目になりますが、今回のことを1番最初にに書くべきであった

 かもしれません。とてもひどく、悪戦苦闘して、何とか被害を最小限に抑えた事件があったのです。


なんじゃ こりゃ~

 「おもとの丘」の運営会社は「(株)未来農林」と言います。会社設立が平成29年6月で、初めて苗を植え

 たのが翌年の平成30年3月でした。

 私はあるところを退職し、4月3日から(株)未来農林に出社したのですが、その日の午後、若いスタッフに

 案内してもらって、苗を植えた圃場を見て回りました。圃場を見て・・・


           「はあ~?」  「どうして?」  「なんじゃこりゃ~」



苗が枯れている

 植えてからわずか1週間くらいしか経っていない苗が、葉が茶色になり、枯れていっているのです。







しかも、なぜか株回りに石灰が大量に

撒かれています。



   ( 枯れている苗 )



 果樹に関わってウン十年になりますが、こんなひどい植え方を見たのはは初めてでした。

 苗は、かぼすとユズで全部で2,566本植えましたが、そのうち、約60%ぐらいが危機的状況にある

 と判断しました。



圃場写真 ①  ほとんど全部の苗が枯死寸前


 


圃場写真 ②  この列も枯死寸前、苗は虫の息でした。




どうしてこんな植え方をしたのか

 話を聞いてみると、経緯は次のようなことでした。

  

 ・園地の造成は、自社で施工。重機の得意な社員がユンボで造成。

 ・植え付けは、外部の林業系の会社に全面委託。

 ・事前に植え方の指導は一応受けた。

 ・石灰は、本来は植穴の中に入れるのが正しいが、あとで上から撒いてもよいといわれたので、

  上から1株に2㎏撒くよう委託業者に指示した。  



ひどい植え方






木の根や石も取らず、

ただ寄せただけ














石や土くれをそのまま

寄せただけ














根の周りはすき間だらけ








        

        これでは枯れるわな~



双方に行き違いが

 ( 農園側の間違い )

 ・果樹に関して、全くの素人であった。

 ・苗を植える園地は、面を造れば、後は植え付け業者が全部やってくれると思っていた。

  (本当は、面を造成し、植える場所の石や木の根を取り除き、植穴に堆肥、ようりん、苦土石灰

   を入れてよく混ぜる。ここまでの作業をして、後は業者に任せるべきだった。 )

 ・植え付け作業の進捗を見ていなかった。

  (全面委託したとはいえ、途中の経過を見て疑問を持つべきであった) 


 ( 植え付け業者の間違い )  

 ・林業系とはいえ、専門業者としてずさんな植え方。

   杉やヒノキの植え方と、果樹苗の植え方は違います。しかし、苗の植穴に石や土の塊がゴロゴロ

   していたり、木の根も取らずに土を寄せただけという個所も多くありました。

 ・果樹をなめていたのか、あるいは、知っていて工期内に終わらせるため、確信犯でこんな植え方を

  したのか不明。



救急救命作業開始

 次の日から、苗を助けるために救命作業を始めました。業者に言っても次の現場に行ってしまい、いつに

 なるか分かりません。苗が全滅してしまいます。自分たちでやるしかなかったのです。


 まず、作業をするのにも道具がない。ホームセンターに行って、鍬、手ぐわ、スコップ、水タンク

 ホースなどを買いました。水を撒くのにも動力噴霧器がない。(注文済みだが、納品まで日数がかかる)

  (作業手順)

   ・石、土くれ、木の根を取り除き、根の周りを細かい土で埋める。

   ・苦土石灰を周りに散らせる。

   ・丸い土手を作り、水をたっぷりやる。その際、下の方まで水が入るよう竹でつつく。




ただ水を撒いてもダメなのです。植穴の根の周りが

スカスカだと、すぐ乾いてしまいます。ちょっと溜

まって、数分後に緩やかに浸み込むのが理想的。


場合によっては、苗を一旦引き抜いて一から植え直

ししたものもあります。








この作業、4月4日から始めて5月中旬まで約1か月半かかりました。圃場毎に苗の状態を見て、緊急性の高い

 圃場から優先して作業を行ない、3人で正味30日間くらいで、2,566本全部を植え直ししました。

 それから、乾燥防止と肥料分の供給のため堆肥を株回りに敷きました。


 あとは、苗の生命力に期待して、かたずをのんで見守っていました。



復活した!

 葉が落ち軸だけになった苗から、芽が出てきました。全部の苗ではありませんが、環境を改善すれば植物は蘇りま

 す。






 

 






左 :軸がまだ緑色で健全・・全体から発芽


上 :軸はほとんど枯れた・・一番下から発芽   





 



左 :軸が上半分が枯れた・・半分から下で発芽





















93%の苗が助かった

 当初60%ぐらいの苗が枯れるのではと心配しましたが、結果的に7%だけ苗が枯れました。この7%の苗は

 手遅れだったのです。

 しかし、ヒーヒー言いながら1か月以上作業をして、被害をずいぶん軽減できたので良かったと思います。

 もし、あのままであったらと思うとぞっとします。

 枯れた7%の苗は、次の年の春に新たに苗を購入して補植しています。



現在の姿は?


 写真①の現在    (令和4年5月)


 写真②の現在



 すっかり元気になりました。

  写真①と写真②の圃場は、平成30年3月に植えて今年で5年目になります。一番最初の年に植えたので、Ⅰ期

  (いっき)圃場と呼んでいます。

  我が農場は、苗を植えてから3年間育成、4年目に初結果ということを基本としていますので、このⅠ期圃場も

  昨年初結果させました。あの状態からよくここまで復活したと、スタッフ一同感無量です。



以後、人任せにしない

 これ以降、Ⅱ期~Ⅳ期まで新植をしましたが、人任せにせずに、助っ人(アルバイト)の協力は得ながらも自分た

 ちで丁寧に植えることにしました。

 この経験を「貴重な経験」と言うべきか「おぞましい記憶」と呼ぶべきか、しかし、二度とはごめんです。


         「不勉強」「無関心」「丸投げ」はいけませんなあ。

         

                 

                                   ( おもとの丘の長老 )                









 

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