( おもとの丘奮闘記2023-㉑ )
今年は異常なほどの残暑でいまだに日中は30度越えの日々が続いていますが、朝晩はいくぶん涼しくなってきま
した。かぼすは、今後季節が進んでいくにつれて外観や味わいが変わっていきます。
緑色のかぼすは未熟果
一般的なかぼすのイメージは緑色ですが、これはかぼすの果実が未熟な状態です。かぼすも他の柑橘類と同様に成
熟すると黄色になります。しかし、香酸柑橘(こうさんかんきつ:香りと酸味を楽しむ柑橘)ですから、熟れたか
らと言ってもみかんのように甘くはなりません。酸味がまろやかになり、コクも出て緑のかぼすとはまた違った味
わいで、秋から冬にかけて鍋物のポン酢などにすると、絶妙な味となります。
緑かぼす → 黄緑かぼす → 黄かぼす

( 黄緑かぼす ) 昨年10月3日撮影
例年であれば、10月上旬ころから緑色が抜け始めて黄緑かぼすになります。この変化は気温に大きく影響され、特に夜温の低下とともにかぼすの皮の葉緑素が分解されて、その下にすでにあるカロチノイド系色素が現れてきます。
今年は残暑が厳しく夜温もなかなか下がらなかったので、昨年に比べて色抜けが若干遅いようです。

( 緑かぼす )
果汁はやや少なめ(果汁歩合20%前後)
鮮烈な香りが強い
料理にかけて使用

( 黄緑かぼす )(昨年10月3日)
緑かぼすから黄かぼすに変わる過渡期
香りも良く果汁も多い
(緑と黄色の良いとこ取り)
料理にかけてもよし、果汁利用も良し

( 黄かぼす )(昨年11月8日)
完熟したかぼす
果汁がたっぷり(果汁歩合50%超)
まろやかな酸味、コク、旨味増
ドリンク類や鍋物のポン酢に最適
「かぼすは緑が絶対」という時代がありました
かぼすの販売は、以前は「周年グリーン出荷」という目標で、一年中緑色のかぼすを出荷しようという戦略でし
た。3月から超早期加温栽培→早期加温栽培→無加温ハウス栽培→露地(8~9月)→短期貯蔵→中期貯蔵→
長期貯蔵(1~2月)と、ハウス栽培、露地栽培、貯蔵を組み合わせて周年出荷体制は技術的にも確立されてい
ます。
これは戦略としては正しかったと思います。レモンの黄色はやはり洋食のイメージで、これに対抗するために緑
色で和食での消費拡大を狙い、定着しました。
高いかぼすは一般消費者が買えない
一般の消費者がかぼすを楽しめるのは、8月中旬~10月上旬の露地(ろじ)期に限られます。一番販売単価が
下がりお買い求め安い時期だからです。一方、ハウス栽培や貯蔵したかぼすは、コストがかかっていますから、
高い単価設定にしないと生産者が赤字になります。従って、販売先は料亭や寿司屋等の業務筋に限られることに
なり、一般消費者の方は手が届かない商品になります。
かぼすを長い期間食べていただきたい
「おもとの丘」では、ハウス栽培や貯蔵は現在のところ行なっていません。露地栽培のみです。よって、緑かぼ
すだけであれば8月中旬~10月中旬の販売で終了です。これに「黄緑かぼす」と「黄かぼす」を組み合わせる
ことで12月まで販売期間が伸びますし、お客様も同一価格で長くかぼすを楽しむことができます。
鮮度は抜群です
直売所やスーパーで、鮮度が落ちて黄色くなっているかぼすを見かけますが、「おもとの丘」の「黄緑かぼす」
や「黄かぼす」はそれらとは全く異なり鮮度は抜群です。樹で成らせたまま熟らせたもので、「樹成り(きな
り)」ですから、果皮はピチピチ、果汁もたっぷり出ます。
10月上旬~ 「黄緑かぼす」
11月上旬~ 完熟「黄かぼす」
それぞれの時期のかぼすの魅力を味わってください。ご注文お待ちしています。


(果汁がたっぷりな黄かぼす) (出荷箱) 昨年の写真
かっては、黄色くなったかぼすは緑の時期に取りそこなった「カス」として扱われた時期もありまし
たが、かぼす農家や庭に植えている家庭では、秋から冬にかけて鍋などに使って美味しく食べていま
した。最近は、黄色の完熟かぼすも認知度が上がって、商品として流通するようになりました。
人も同じです。若いだけが良いのではなく、50代、60代と人生経験を積むほどに人間的に厚み、
深みが増し、その年代ならではの魅力が備わってきます。(フッフッフ)
前回、「おもとの丘のかぼすラインアップ」で書きましたが、これ「ラインナップ」じゃねえ?との
指摘があり、「あ~?そういえば・・・」。まあ、この程度のことは気にしないのが熟年の魅力。
( おもとの丘の長老 )
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