(おもとの丘奮闘記⑩)
今、野いちごが熟れています。
かぼすの花の時期と同じころ、あちこちで野いちごの赤い実がなっています。
野いちごが多いのが、うちのⅡ期(にき)圃場です。
今回はこのⅡ期圃場について紹介します。
(野いちご)
2年目に開園したのでⅡ期圃場
おもとの丘では、毎年一定面積ずつかぼすを植えてきました。最初の年が平成30年の3月で、
この圃場をⅠ期(いっき)。次の年31年3月に植えたのでⅡ期(にき)と呼んでいます。
特殊な地形のⅡ期圃場
Ⅱ期圃場は壮大な谷になっています。農場名は「おもとの丘」なのに、谷があるの?と言われ
そうですが、見事な谷です。私は「うちのグランドキャニオン」と呼んでいます。
この谷は、昭和40年代末頃(約50年前)に植えられたみかん園だったのですが、その後の
みかん価格の暴落で農家が栽培をやめ、山に戻っていたところです。
そこを、木を切り、再造成してかぼすの苗を植えました。
植付直後の
Ⅱ期圃場
木を切り、法面(斜面)も
きれいにしました。
Ⅱ期圃場は、まだ国の事業の対象にはなっていなかったため、予算も少なく大規模で理想的な園地
にすることはできませんでした。元の地形を活かしながら、できるだけ自分たちで木を切り造成を
し、なんとかかぼすの苗を植えられるようにしました。
( 余談 )果樹なら、こんな地形でも植えてよいか?
よくありません。選択肢があるのなら、このような地形のところには植えない方が良いのです。
以前、昭和の時代頃までは、「平坦で一番良いところは水田、次に普通畑(野菜等)、果樹は
傾斜地でよい」という考えが一般的でした。
ところが現代では、高齢化問題や作業の効率化を重視して、果樹園も「水はけのよい平坦地」が
よいという考えに変わってきました。
そこで、我が農場でこの後国庫事業で造成したⅢ期、Ⅳ期圃場は、要望を入れてもらい、ほぼ平
坦で機械作業がスムーズに行なえる理想的な圃場になっています。
Ⅱ期圃場の欠点
この圃場には欠点がいくつかあります。
①総面積に対して、実際に植えている面積の比率が小さい。(低収量)
②傾斜地の階段に1列しか植えられない。(片側だけの防除)
③機械のUターン箇所がない段がある。(非効率)
(一つの階段)
機械作業の安全性を重視して、作業道は山側に、かぼすは崖側に植えました。
現在のⅡ期圃場
開園してかぼすの苗を植えてから3年ちょっと経過
しました。
どこにかぼすがあるの?と言われそうです。
これは、法面(のりめん:斜面部)の木や草が伸び
てきたためで、確かに作業道はわかるものの、かぼ
すの樹は見えにくいですね。
法面の木を残す理由
①根こそぎ取ってしまうと、斜面が崩れる。
②風が強く、防風林の役割りをさせている。
③管理するのに多大な労力を要する。
ということで、かぼすが植わっている各階段で、かぼすの生
育に影響がある箇所のみ、木を切ったり草刈りをします。
Ⅱ期圃場に価値はあるのか?
価値を付けたいと考えています。
作業効率は悪いし、管理コストも多くかかります。
そこで、極力労力をかけず付加価値の高いかぼすを生産できないか
、作戦を立てていきたいと考えています。
他の圃場から離れているため、例えば、農薬散布を極力減らして「減
農薬かぼす」または「有機栽培かぼす」の専用圃場にする。とか
花の時期に養蜂家に頼んで「かぼすハチミツ」を採集するとか・・・。
単なる効率の悪い圃場ではなく、個性のある圃場にしたいと思います。
今後の課題です。
Ⅱ期圃場に行くと、この時期、あちこちに野いちごがあるのです。
造成した時に、木や草の根が残っていたためです。
幼少期の郷愁にそそられて、5~6粒摘んで口に放り込みます。
甘酸っぱさが疲れを癒してくれます。
おお~ここに大きいのがある
あそこにうまそうなのが・・・ 仕事にならんな。
( おもとの丘の長老 )
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