(おもとの丘奮闘記2023-㉔)
朝晩の気温が下がってきて、かぼすの着色がずいぶん進んできました。まだ一部緑色を残しているかぼすもありますが、6割程度の果実は完全に黄色になっています。完熟黄かぼすの出荷を始めました。
以前から書いてきましたが、かぼすも他の柑橘類と同様に熟れると黄色くなります。過去、かぼすは一年中緑色で出荷しようという流通戦略できましたから、「えっ 黄色のかぼすってあるの?」と思われる方もおられると思いますが、大分県内では、時期が進めばかぼすは黄色くなるということは知られています。
(きれいに色づいたかぼす)
完熟になるとどうなる?
かぼすは香酸柑橘(こうさんかんきつ:香りが良くて酸っぱい柑橘)ですから、通常、クエン酸を主とする酸は6%前後ありとても酸っぱいのですが、熟れるとこの酸が0.5~1%程減少し、また、糖分もやや増加するので、とてもまろやかな酸味になります。
酸っぱいのが苦手という人は、緑色のかぼすよりも黄色のかぼすの方が好きと言います。
甘くはなりません、まろやかになります。
生食用の柑橘(みかんやデコポン等)は、酸が1%前後で糖が12%前後ですから甘くておいしいの
ですが、黄かぼすは糖もそんなに高くありませんし酸は依然として5%前後あるので、「まろやかな
酸味」となります。
果汁がたっぷり出ます。
緑色のかぼすの出荷始めの頃(8月中旬)、かぼすを買っていただいたお客様から「果汁があまり出
ない」という意見を頂くことがあります。しかし、この時期はかぼすが未熟な状態で全体の重さのう
ち、果汁は20%前後しか含まれません。時期が進んで、緑かぼすの出荷のピークの9月中旬頃には
果汁歩合は30~35%と増えてきます。一方、成熟した黄かぼすでは、果汁歩合は50%前後に増
え、たっぷり果汁は出ます。
収穫、選果して消費者の皆さんへ
(収穫作業)
丁寧に収穫して、選果場に持ち帰ります。
(着色に差があり)
それぞれの樹の着果量の差や樹の上部と下部で、色
づきに差が出ます。
黄色く完全着色したかぼすだけを収穫すればよいの
ですが、作業効率を考えれば非効率なので、全部収
穫しています。
緑果は別にして出荷します。
(選果作業)
傷の有無などの外観によって、「標準品」と「お
徳用」に分けます。
きれいなものを「標準品」、多少難ありを「お徳
用」として販売します。
「お徳用」はちょっと外観が劣るのですが、中身
は「標準品」と同じです。価格は割安になってい
ます。
(箱詰め)
「おもとの丘」オリジナルの出荷箱に入れ、消費者
の皆さんへお届けします。
ちなみに、完熟黄かぼすの品種は「大分1号」で
す。種なしの「香美の川」は完売してもうありま
せん。
切ると果汁がにじみ出ます。 絞ると果汁がたっぷり滴ります。
(とてもきれいな完熟黄かぼす ♡) 鍋やドリンクでお楽しみください。
緑色のかぼすも完熟黄かぼすにも、それぞれに魅力があります。
緑色かぼすの周年出荷は一つの流通戦略で、否定はしません。しかし、旬の露地出荷時期を
外れると、販売単価は上がり購入者は業務筋に限定され、一般消費者は買えなくなります。
季節の移ろいとともにかぼすの色も変わり、「ああもうこんな時期か」と思っていただくの
も良いのではないかと思います。
さあ皆さん秋ですよ。鍋やホットかぼすがおいしい季節です。
( おもとの丘の長老 )
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