〔 おもとの丘奮闘記2024-⑦ 〕
かぼすの着色が遅れている
おもとの丘では、8月上旬から10月上旬まで緑色のかぼすを出荷し、11月上旬からは完熟の黄かぼすを出荷
してきました。
緑かぼす → 黄緑かぼす → 黄かぼすという順序になりますが、中間の黄緑かぼすは消費者の皆さんからは
あまり好まれないようで、緑なら緑(これが本命)黄色なら黄色(ファンがいます)と、はっきりとした色でな
いと購買意欲がわかないようです。
しかし今年は、黄色の完熟かぼすの出荷が大幅に遅れました。昨年は11月上旬には完全に着色していたものが、
今年はやっと11月の29日からの出荷になりました。
〔黄かぼす 若干緑色が残る 2024.11.29〕
他の作物でも同様の傾向が
かぼす以外でも今年は異変が伝えられています。作物ではありませんが、紅葉が遅れているという話はニュースで
ひんぱんに伝えられていますし、秋野菜が生育不良でキャベツや白菜が高騰という話も聞いています。
最大の原因は気温
ここ何年かは夏の猛暑が続いていますが、10月から11月にかけて平年並みに気温が低下していれば、ここまで
の着色遅れはなかったはずです。
【 柑橘類の着色の生理 】
柑橘類は未熟なうちは緑色をしていますが、これは表面に葉緑素(クロロフィル)があって光合成を行なってい
ます。そして成熟度が進むと表皮の下の部分にカロチノイド系色素が蓄積してきます。
秋になって気温が低下してくると、表面のクロロフィルは分解され、その下のカロチノイド系色素が現れてきま
す。
クロロフィルの分解及びカロチノイド系色素の発現には 15℃ 付近の低温がよいとされています。
今年の気温の推移
気象データを調べてみました。 (隣の市 :豊後高田市データ)
11月上旬に着色するためには10月中~下旬の温度が影響が大きいと推測。
(10/11~10/31 の21日間の最低気温)
・平年値・・・15℃以下の日数 21日
・今 年・・・ 〃 9日 (※さらに20℃以上が4日あり)
11月に入って徐々に下がってはきましたが、上中旬には15℃を超える日が何日かありました。
要は10~11月中旬が暖か(暑)過ぎたことが原因だと考えられます。
樹や園地の状態でも変わる
〔 着色が進まないまま収穫 :着果量が少ない樹 〕
成りの少ない樹は色が抜けにくい
最大の原因は気温ですが、それに加え今年の隔年結果(かくねんけっか)が問題になります。結果量が少ないと栄
養生長が盛んになり、肥料分の中でもチッソの吸収が多く、大きくて色が抜けにくい果実になります。
( 適正樹勢、適量着果)
きれいに着色している。
( やや強い樹勢、着果量少 )
果実も大きく、やや緑残る。
昨年に比べ3週間遅れ
( 昨年2023.11.9の果実 )
昨年は11月5日から出荷を開始した。
撮影時11/9には完全着色だった。
黄かぼすは鍋にぴったり
黄かぼすは完熟かぼすとして販売していますが、完熟といっても甘くはなりません。香酸(こうさん)柑橘ですか
ら、もともとの酸が高いのです。緑色の時期には6~6.5%の酸が含まれますが、黄色になると酸が0.5~1
%ほど低くなり、糖分も増えるのでまろやかな酸味になります。毎年、黄かぼすの方がいいとご注文を頂くリピー
ターのお客様もおられます。今年は、微妙に緑色が残っていてもご勘弁ください。
かぼす果汁、醤油、若干のだしで自家製ポン酢を作ってみてはいかがでしょうか。生ポン酢で食べると市販の瓶詰
のポン酢はとてもとても・・・。
今年は隔年結果(かくねんけっか)で生産量の減少を心配し、夏は異常高温、干ばつで苗の枯れるのを
防ぐため土中に潅水をしました。秋には黄かぼすの着色不良で悩まされ、悪戦苦闘で対処してきました。
まあよく色々なことがあるもんだとあきれています。
12月まで出荷は続きますが、来年は良い年でありますように願っています。
( おもとの丘の長老 )
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