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かなり大変 幼木管理

(おもとの丘奮闘記 ⑫)


おもとの丘農園では、ほぼ毎年カボスの苗を植えて栽培面積を拡大しています。

ということは、樹齢(じゅれい:樹の年齢)の異なる園地が混在しており、それぞれで管理内容

が異なるので、かなり大変なのです。

「幼木期(ようぼくき)」とは、まだ果実を成らせない時期を指します。この時期独特の管理も

あり、いかにうまく管理するかでカボス園の将来が決まるといっても過言ではありません。


3年間育成、4年目着花が基本









( 優良園 )

昨年3月に植栽、1年2か月

後の5月末に撮影

すくすく育っている




 苗を植えてから3年間は、樹を大きくすることに専念して実は成らせません。

 仮に花が着いても、摘み取ります。花が咲いて実がなると、てきめんに樹の成長が抑えられる

 からです。

 篤農家(とくのうか:熱心で技術的にも優れる農家)では、「うちは2年間育成3年目着花」

 という方もおられますが、これは、土の条件が良かったり、小面積で幼木管理に十分労力を注

 げる場合で、我が農園のように新規造成地に植えた場合、やはり3年育成かなと思います。


  

幼木管理のいろいろ


 ( 芽かき )

    3月に植え付けて、4月になると新芽が出てきます。枝の先から出る新芽は歓迎ですが、     株の元(下)の方から出る芽は不要で、生育に支障をきたしますので切除します。

    同時ではなく時間差で芽が出るため、何回も見回り、芽かき作業をします。








苗の元の方から出た芽


手で触るとポロっと

とれます

これくらいまでに芽

を取りたい









台木(カラタチ)

の芽


手では取れない

剪定鋏で切除









大きくなった元芽


芽かき作業が遅れて

大きくなりすぎた

上部の生育に影響

あり




 ( 草管理 )

    草の管理も、苗を育てるうえで重要です。雑草の生命力たるやすごいものがあります。

    草がぼうぼうに生えると、カボス苗との間で肥料や水分の奪い合い(競合)が起こり

    ます。

    また、草が大きくなって苗にかぶさるようになると、日光が遮られ光合成が阻害され

    て、生育が悪くなります。


    草管理は、除草剤と草刈りを併用して行います。

    除草剤は、草丈が低い時期にかけると、薬代の節約と抑草期間が長くなるので有効です。

    大きくなってしまった草や法面(のりめん:傾斜部)は、草刈り機で刈っています。    


 





伸びすぎた草


作業が遅れて

しまいました










草刈り作業 


大きい草は

草刈り機が

有効




 

 ( 害虫対策 )

  

   〇エカキムシ対策

    柑橘類の芽(枝)は、大きく分けて3回発生します。4~5月の春芽、6~9月に夏芽、それ以降は

    秋芽と呼ばれています。

    幼木にとって一番大事なのは「夏芽(なつめ)」です。夏芽は力強い芽(枝)が2~3回発生するの

    で、この夏芽を健全に伸ばせば、苗が一気に大きくなります。


    ところが、この夏芽の伸長を阻害する虫がおります。俗にエカキムシと呼ばれ、正式名称はミカンハ

    モグリガと言います。

     





エカキムシ

被害葉









  ミカンハモグリガの幼虫が、葉の表皮の下を食べながらぐるぐると絵を書くように移動するので、エカキ

  ムシと呼ばれています。被害を受けると、葉が縮れ光合成能力が落ちたり、かいよう病にかかりやすくな

  るので、幼木にとって大敵です。

  7~10日に1回、浸透性の殺虫剤をかけます。果実を収穫しない幼木期だけに認められた農薬の使用法

  です。果実が成っていないので、安全性は問題ありません。


〇アゲハの幼虫対策










アゲハの幼虫







アゲハチョウの幼虫も、カボスの幼木にとって大敵です。

アゲハチョウの成虫は、各種の花の蜜を吸って生きているのですが、幼虫はミカン科(柑橘類、山椒)の

柔らかい新葉しか食べません。成虫がどこからともなく飛んできて、新芽の先端近くに卵を産んで、葉を

むしゃむしゃと食べていきます。幼虫は小さい時は黒い色で見やすいのですが、老熟幼虫になると葉の色

と同じ色になり、発見が難しくなって枝が丸坊主にされてしまいます。



 ( 花摘み )

   苗によっては、1年目や2年目で花を着けるものがあります。本来は、植えてから3年間は花を着

   けず栄養生長(えいようせいちょう:樹が大きくなる成長)してもらいたいのですが、樹の勢いが

   弱いものは生殖成長(せいしょくせいちょう:花を着ける)してしまいます。

   花が咲き果実を成らせると、樹は大きくなりにくくなるので、手で一つ一つ摘みます。(摘花)

 







花が着いた苗

















摘んだ花








主要な管理を紹介しました。

 

(その他管理)

   肥料・・・月1回、少量の肥料を株元に撒いていきます。幼木はまだ根域が狭く、また、一度に大量の

        肥料を吸収できないので、小分けにしてやります。

   摘芯・・・夏芽の時期に、枝が長く伸びると垂れるので、先端を摘みます。シーズン中2~3回の摘芯

        を行ないます。



我が農園も、幼木管理が完璧にできているといえないところもありますが、できるだけきめ細かな管理をして

できるだけ早く大きくなってもらいたいと思っています。


   人を育てるのも同じようなもの。

       

     「親はなくても子は育つ」  は間違い。


     「育てたように子は育つ」  が正しいのです。



                                 ( おもとの丘の長老 ) 


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