再び 「かぼすの花は気まぐれ」
- yoshiharutsuru
- 2 日前
- 読了時間: 4分
〔 おもとの丘奮闘記2025-③
4月になり気温が上昇してくると、かぼすの樹は新芽が出て花の蕾も見えてきます。昨年は、大分県下でかぼすは裏年で、生産量は少ない傾向でした。「おもとの丘」でも、圃場により差はありましたが、全体的には裏年の傾向でした。
発展途上の農場にとって、生産量を倍、倍ゲームで増やしていかないと経営的に苦しいものがあります。昨年裏年なら、今年は表でどっさり成ると思っていたら・・・。
「あれ~ 花が少ないぞ」
結果母枝(けっかぼし:花が着くはずの枝)もそこそこあり、当然花がたくさん着くと思われた樹、園地で、よく見て
探さないと花がないのです。(全部ではありません)園地によるばらつきが大きく、ひどい園地は着花程度が極少か皆無です。


(ある園地:新芽ばかりが目立ち、花は少ない)
探せば奥の方にちらちらとはある
何年か前にこのブログでも、かぼすの花は気難しく(気まぐれ)毎年安定して花を着けさせるのは難しいという記事を書きました。今回再び原因を探ってみます。
原因は「気象」と、かぼすの「着花生理の繊細さ」
今年のこの状況を、県の研究機関や普及センターに相談し、また、自分で気象データも調べて検証してみました。
〔 気 象 〕
①秋口の高温で芽が動き、貯蔵養分を浪費したのではないか。
②冬期の乾燥で円滑な花芽分化が阻害されたのではないか。
③冬期の低温で落葉し、花芽が葉芽に置き変わったのではないか。 ということが考えられます。
(望ましい気象の推移)
9月 10月 11月 12月 1月 2月
( 徐 々 に 気 温 低 下 ) ( 適度な降雨、軽い低温 )
花芽分化期
気象データ (隣の市:豊後高田市のアメダスデータ)
( 気 温 )
・9月最高気温30℃以上・・・27日(平年は4日)
・10月最高気温25℃以上・・12日(平年は2日) 特に10月中旬28℃以上4日
・11月最高気温20℃以上・・14日(平年は1日)
秋が異常に暑かったことが分かります。 通常は、春芽や夏芽は発生して光合成を行ない、炭水化物を葉や
枝に蓄えて冬に向かいます。この炭水化物が多いほど花が着きやすくなります。(C/N率)
温度が高くさらに芽が出て、せっかく貯めた炭水化物が使われてしまったのではと考えられます。
( 降水量 )
12月 1月 2月
今 年 5 20.5 37.5 mm
平 年 45.7 49.4 53.0 mm
12月は平年の1割程度、1月は約40%、2月は約70%です。冬期は夏期に比べて水分の必要量は少
ないのですが、一定の生理活動をしているので、過乾燥は花芽分化に影響が出ます。
( 極 低 温 )
2月の最低気温・・・-3℃以下が4日(うち-4℃以下が2日 2月9日・・-4.7℃)
積 雪・・・3日
かぼすは常緑果樹の柑橘類ですから、落葉果樹に比べて寒さには弱い作物です。風を伴う低温で落葉して
しまった園地が見られます。植物にとって葉が一番重要ですから、落葉すると、花になる予定であった芽
が葉に変わってしまうことがあります。
〔 かぼすの着花生理 〕
同じ柑橘類でも花の着き易さには差があります。去年から今年にかけての異常と思える気象条件でも、ちゃん
と花の着いている柑橘があります。

( ある中晩柑類 )
たくさんの花が着いている
ただし、肥料をたくさん与え摘果を十分行わない
と小玉になる。
( 柑橘類の一般的傾向 )
・中晩柑類(甘夏、不知火等)・・・とても花は着きやすい
・温州ミカン類・・・比較的花は着きやすい(ただし、隔年結果はする)
・かぼす ・・・非常に生理が繊細で、2~3年裏年になることもある
全部の園地が不作ではありません

( 花の着いているかぼす)
「おもとの丘」のかぼす園は、それぞれに条件が違います。それは、園地によって風当りや土の乾燥、温度の上がり
方が違うからです。昨年の気象の影響を受けにくかった園地では、花は十分着いています。
せっかく着いた花を大事に管理して、青果率を上げ、今シーズンのかぼすを楽しみにしていただいているお客様に
お届けしたいと、スタッフ一同頑張っているところです。
「かぼすの花は気まぐれ」と書くと、何やらかぼすがわがままで、○○○心と
秋の空みたいに思うかもしれませんが、実は繊細で、ちょっとのことで着花生
理が乱れてしまうのですね。環境を整えて、やさ~しく見守っていかなければ
と思います。
( おもとの丘の長老 )
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