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風に悩まされる日々


〔 おもとの丘奮闘記2023-⑫ 〕


おもとの丘では、毎年かぼすの苗を植えて栽培面積を拡大しています。しかし、かぼすの苗がたびたび風の被害を受けて、悪戦苦闘しています。

                                     (国の事業で造成したかぼす園)

理想的なかぼす園を目指して

 現在おもとの丘の栽培面積は9.1ヘクタールで、そのうちの約60%は国の補助金を頂いて、作業性の良い効率

  的な圃場を造成し、かぼすの苗を植えました。傾斜は軽微で作業道を広くとり、防除や運搬は機械化できます。

 しかし、ここの地形が谷になっており、海からの吹き上げの風や山からの吹きおろしの風がかなり強いのです。


 本来は、苗の植え付けと同時に防風ネットも設置するのが当たり前の話ですが、造成の事業では防風ネットは事業

  メニューになく、別の補助事業で1年遅れで防風ネットを設置しました。



昨年の台風がひどかった

 昨年の9月に台風14号が襲来しました。まだ防風ネットは設置していませんでした。植えて2年目の4番圃場と

 1年目の3-1,3-2圃場のかぼすの苗が被害を受けました。数百本が倒され、また、立っていても株際が大き

 く穴が開いているものがほとんどで、修復に多大な労力を要しました。

 

  2022年9月  (完全に倒された苗)          (揺さぶられて株際に穴) ※台木の芽は取り忘れ



防風ネット設置 

 昨年の轍を踏むまいと、冬~春にかけて防風ネットを設置しました。強い風が予想されるので、骨組みのパイプは

 かなり頑丈に組みました。しかし、骨組みへのネットの固定方法をいささか簡易にしたため、ネットが吹き上げら

 れ、はずれたり破損したりしました。これではいけないと補強作業を計画中です。


  2023年5月    (めくれ上がったネット)                (一部破損)



苗の支柱を頑丈なものに

 苗を植えた後は、必ず支柱を立てて固定します。固定することで根張りがよくなり、苗の成長も促進されます。支

 柱は、1年間苗を固定できれば良いと考えていたので、やや細い竹を使っていたのですが、2年目や3年目の苗も

 風の影響を受けるので、太い竹に逐次替えていっています。


   (植え付け時:細い支柱)                (太い竹の支柱に交換中) 



防風林が理想的なのだが・・・

 みかん農家の園地には防風林が植えられています。木の種類としてはマキや杉、檜、珊瑚樹なども使われていま

 す。防風林の良いところは、粘り強いことです。一定の年数がたって成長した木はしなるため、少々強い風が吹

 いてもうまく受け流して、風の被害を防いでくれます。


 しかし、防風林を植えても、成長して役に立つまでに10年以上かかるので、おもとの丘では間に合いません。

 防風ネットで防ぎながら、苗の成長を待つほかはありません。



樹が大きくなっても風は大敵

 苗が大きくなると根も広く深く張り、風にはかなり強くなります。しかしかぼすの樹が大きくなると、今度はか

 ぼすの実に発生する「かいよう病」が問題になります。「かいよう病」はかぼすの病気の中でも最凶で、細菌性

 で枝などに越冬菌が残り、一度発生するとなかなか根絶できません。風が強くて葉に傷ができると、その傷から

 菌が侵入して発病します。風を防ぐことが「かいよう病」根絶の第1歩となります。

 各種対策を組み合わせて、何とか風を防いでいこうと考えています。



           うちの農場はまだ幼木が多いので、何かと手がかかります。何日もくい打ちや誘引作業

           をしたり、草刈りや防除や肥料振り等々。若いスタッフは頑張って作業をしていますが、

           まだ果樹栽培の醍醐味はわかっていないと思います。

           長いスパンで考えなくてはなりません。3年前のあの作業がこの成長につながった。とか

           5年前に枯れかかっていたのが、懸命な復旧作業で、今ではばりばり実を成らせるように

           なった とか。

           10年後のおもとの丘が楽しみです。  (私はもう引退しとるだろうが)


                                      ( おもとの丘の長老 )     



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