最初がきびしい果樹園経営

(おもとの丘奮闘記⑧)


調査員も知らなかった果樹園経営の性質

 我が農園の名前は「おもとの丘」ですが、運営主体は「株式会社未来農林」という会社です。

 会社設立が平成29年の6月ですが、その2年後ぐらいだったと思います。

 某調査会社が調査に来ました。おそらく、法人登記の名簿を見てきたのだと思います。

 

 会社の概要を教えてください  →  説明

 会社の決算書を        →  まだ農園を始めたばかり、見ても意味がないので

                   お見せできません。


 と、この年はこれで帰ってもらったのですが、次の年もまた来ました。


 いささか私もあきれて「あのねえ・・・」と次の資料を見せました。

(説明)

 ・果樹は植えてから3年程度は「育成期」で、樹を大きくすることに専念して、たとえ花が着いても

  摘花(花を手で落とす)して果実を成らせません。つまり、出荷0、売上0。

 

 ・4年目に初結果(実を着ける)し、徐々に収穫量が増えて、我が農園では7年目ぐらいでピークに

  したいと考えています。

    (一般的には、成園まで10年程度かかるのが普通ですが、我が農園は計画的密植栽培で苗の

     本数を多く植えているため早い。)

 

 ・それからピークの収穫量が30年程度続きます。(ただし、適正な管理を行なった場合)

   ※果樹の樹体は固定資産であり、財務省の法定耐用年数表では柑橘類は30年とされている。

    耐用年数期間は成園期30年を指し、全サイクルでは約40年がカボス園の一生です。


 

 「我が農園はまだ2~3年なので、出荷も利益もありません。10年後に調査に来てください。」

  と言ったら、やっと納得してくれました。皆さん果樹のことを知らないようですね。



「果樹」という作物に取り組むメリットはあるのか?

  カボスを含め、果樹という作物、ジャンルに取り組むメリットはあるのでしょうか。

  土地代、苗代、農薬肥料等の資材費、管理労賃等 初期投資がかかります。

  未収益期間(少なくとも単年度収支がプラスになるまで)が長い。

  しかし、

            メリットはあります。


   果実を得るためにはこの方法しかない。

     柑橘類、ナシ、ブドウ、リンゴ等おいしい果物はたくさんありますが、これらの

     果実を得るためにはこの方法しかないのです。


   ランニングコスト比率は徐々に少なくなる

     米や野菜などの一年生作物は、一年間でサイクルが終了し、毎年経費や利益は

     一定です。

     ところが果樹では、種苗費(苗代)は1回のみ、収穫量は年々増えていきます

     から、売り上げに占める経費の割合は徐々に下がり、成園期(水平飛行)には

     一年生作物に比べて、所得率(利益率)は高くなります。



この時期をどうやって乗り越えるか。

 我が農園で「この時期」をどう乗り越えるかが、現在の最大の課題です。しかし、これには

 もう一つ困った事情があります。


     カボス園地を、毎年少しずつしか増やせない。  のです。


 現在、国の事業で造成工事を行ない、完成したところにカボスの苗を植えています。将来的

 な目標面積のまだ半分程度で、目標達成までにまだ数年かかる見込みです。


 つまり、樹齢の違う園地が混在することになり、我が農園全体での収穫量のピークは、まだ

 まだ先ということになります。  

     

   

 そこで、どうやって「この時期」を乗り越えるか。方法はいくつかあります。

   ①副業、多作物で収入を得る。

   ②ひたすら経費を節約して、じっと耐える。

   ③長期、低利の融資を受け、徐々に返済する。


 ①は手っ取り早くお金が得られるのでこう考える人が多いように思いますが、まず失敗します。

 つまり、果樹を植えてやれやれと思って、野菜等で短期の収入を得ていると、果樹の苗の管理が

 おろそかになり、草に負けたり、枯れたりします。失敗例をいくつも知っています。


 ②節約にも限度があります。例えば親会社が大資本で、子会社として支援を受けられるのなら、

 このパターンは可能ですが・・・。


 ③がやはり現実的かなと思います。公的資金制度もありますし、我が農園もこの方針でやってい

 ます。


( 余 談 )

 業界は違いますが、ウイスキー会社の「ニッカ」は、原酒を仕込んでから出荷できるまでの間、

 (熟成期間4~5年かかる)収入を得るためにリンゴジュースを製造販売していたそうで、会社

 名も「大日本果汁株式会社」で、「日」と「果」で「ニッカ」と名前を付けたそうな。

 これは①パターンと言えますが、ウイスキーと果樹では事情が違います。ウイスキーは原酒を樽

 に詰めて倉庫で眠らせれば熟成しますが、果樹はその間、防除や除草をしなければモノにはなら

 ないのです。



去年やっと初結果

 「おもとの丘」では、令和3年度に農場として初めて出荷をしました。平成30年3月に植えた

 苗が丸3年経過し、4年目に初結果させたものです。

一番最初に植えた Ⅰ期ーA圃場                           (令和3年5月の姿)

この写真のあと、花が咲き、カボスが成りました。

よくぞここまで育ってくれたと、スタッフ一同喜んでいます。

 令和3年度は、初めてカボスが成り、初めて出荷しました。

 栽培面でも出荷面でも課題が多くありました。

 今年は2年目に植えた園地でも収穫が始まります。出荷量も増え、出荷法も工夫して可能な限りいろいろな課題を 

 解決していきたいと考えています。


        今回は、「字が多い」とか「くどい」とか言われそうですが、ご容赦ください。


        さあ、もうしばらく頑張らねば。 あ~厳しい。


                                      ( 「おもとの丘」の長老 )                   

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